奨学金は借りない方がいい?
以下は全て筆者の個人的意見であり、批判的視点で読まれること、親御さん等とよく相談し決断することを強くおすすめします。また、本コラムを読んで行動に移し、生じた問題については一切の責任を負いません。
Contents
奨学金を巡って
「借金はない方がいい」
「借金のある人とは交際・結婚しない方がいい」
「奨学金を借りている人は貧乏人」
「奨学金は返せなくなるかもしれないからやめた方がいい」
「奨学金借りるくらいならバイト頑張る」
等々、奨学金を巡ってはネガティブなことを含めて様々に言われている。一々反論していてはキリがないのでここではしないが、筆者が言いたいのは、
「奨学金は個人の性格・家計状況等によるが、積極的に借りた方がよい場合が多い」
ということである。
金銭的観点
日本学生支援機構の貸与型奨学金には、⑴第一種奨学金(無利子)と⑵第二種奨学金(有利子)がある。まず、それぞれについて金銭的観点から定量的に考える。
・無利子奨学金
①無利子であれば、借りた額面通りに返済すればよいため、インフレ下においてはそれだけで返済額面の実質的価値は小さくなっている。
②急激なインフレの可能性を高く見積もっている方にとっては借りた方が断然いい。紙切れを返すに等しい可能性さえあるのだから。
③日本学生支援機構の奨学金の貸与者はNHK受信料の支払いが免除される(在学4年間で6万円程)。
④投資の原資にすることができる。(積極的におすすめはしない。投機なら尚更)
以上羅列したものを見て分かるように、無利子であれば借りた方が金銭的に得する可能性が高い。
・有利子奨学金
先述の③④は有利子奨学金にも共通である。
現在の利率(令和2年度5月)は、❶利率固定方式は0.160%、❷利率見直し方式は0.003%となっている(上限は3%)。(ただし、❶は貸与終了時の利率が、❷は返済期間中に5年ごとに見直しされた利率が適用され、今の利率が適用されるわけではないので要注意である。)
具体的なケースで考えてみる。今よりも高い利率0.2%で、月5万円で4年間(総額240万円)借り、15年(月13,500円強)かけて返済するケースを考える。返済総額は2,438,646円となり、利息分は4万円弱である。この場合、③のNHK支払い免除額(約6万円)の方が大きく、この時点で借りた方が得になる。(TV等を所有しない場合と受信料の支払いしない場合、NHKがぶっ壊された場合にはこの限りではないが。)
ただ、もう一つ注意すべき点がある。それは、返せるかどうかである。この点については借りる金額と自らの進む道と将来性等をよく考えて判断してもらいたい。
学業とアルバイトのバランス
次に、単純に金額でもって良し悪しを判断できない部分として、学業とアルバイトのバランスの観点から考える。
言うまでもないことだが、アルバイトに追われるあまりに学業等の自己成長に時間を割けなくなってしまっては本末転倒である。大学に行く意味がない。その一方で、学業等の自己成長に注力するためにアルバイトをしないという判断も、賢明な判断ではないと筆者は考える。多くの人がNetflixで海外ドラマを見たりYouTubeで関連動画を見漁ったりして時間を費やすように、理性的に時間を有効活用することは難しい。また、学業に限らず、何かに打ち込むにしても終始集中し効率的に時間を使える人はそう多くない。数学の問題を12時間解き続けようとしたら後半はペースダウンしているといった具合に、である。また、アルバイトとして社会を知っておくのはいい経験にもなろう。以上により、アルバイトはほどほどにするくらいが合理的だと筆者は考える。(ほどほどのラインは個人の能力差ややりたいこと等によって様々であるが、少なすぎてはアルバイトに慣れずストレスが溜まり非効率になることも考えられるため、筆者個人的には3~7万円くらいの間で考えた方がよいと考える。)
そして足りない部分は奨学金を有効活用し、出世払いすればいい。アルバイトしなかった分の金銭的ロスと奨学金の利息分くらいは、自己研鑽によって将来的に稼ぎ出せるだろうし、稼ぎ出すくらいの意気込みで是非とも頑張ってもらいたいところではある。
以上より、奨学金を借りることには合理性があり、借りることを盲目的に避けたり借りていることを見下したり非難したりすることがいかに愚鈍であるか分かったのではないか。
最後に。お金があれば使ってしまう、自らを律することができない、そんな方は不要な出費をし、得にならない可能性が極めて高い。だからこそ重ねて言うが、親等とよく話し合い、自らとよく向き合い決断してほしい。その上で、本コラムを読まれた方の人生の役に立てば幸いである。
関東学生部 Kota