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イージス・アショアは日本の救世主となり得るか

はじめに

615日、防衛省がイージスアショアの配備計画を停止しました。日本の弾道ミサイル防衛システム(BMD)の中心を担う予定だったイージスアショアが配備を実質的に停止した事で、防衛計画の大幅な変更が迫られることになりそうです。北朝鮮や中国の脅威が未だ存在してるのに配備停止するのは良くない!と言う意見が根強くある一方、イージスアショアを買う必要も無い!という意見もありますね。どちらも筆者からすればはっきり言ってナンセンスです。

果たしてこのシステムは日本にとっての救世主となり得るのでしょうか?1度このシステムを振り返ってみましょう。

イージスアショアって?

イージスアショアとは、一言で言えばイージス艦の陸上配備型です。

弾道ミサイル防衛(BMD)構想の中の戦力の一つとして開発されました。BMDに主に三つの段階があります。打ち上がった段階で撃ち落とす上昇段階(ブースト・フェイズ)、途中の宇宙空間にて落とす中間段階(ミッドコース・フェイズ)、地上に落ちてくる最後の段階の終末段階(ターミナル・フェイズ)の三段階です。

https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2019/html/n31202000.html#s312022

イージス・アショアは、イージス艦に搭載されているシステムやミサイルを地上に配備することで、海上のイージス艦の負担を減らしたり、常時警戒をとることが出来るのが目的です。

日本配備の物は主に北朝鮮の弾道ミサイルに対処するために導入をめざしたと言えるでしょう。実はここが重要なんです。

果たして日本を守るためにあるのか

私はこれが果たして日本の為に存在するのか?と言われれば少し疑問を感じます。というのも、この配備場所がどうも不自然な場所にあるからなのです。防衛省の方は山口と秋田に配備することで、日本全体を守る事が出来るといいました。しかしよく調べてみると、北朝鮮からハワイとグアムを結ぶ線上に、見事に秋田と山口があるんですよね

先で述べましたが、イージスアショアは主にイージス艦の代わりを担うもの、言わば中間段階を担うものです。日本に来るミサイルの中間段階は海上です。極論わざわざこの2箇所でなくとも、無人島や別の位置でも言い訳です。となると、このシステムは日本の為ではなく、アメリカのためにあるのでは?という疑問が出ても仕方がないですよね。

確かに同盟国であるアメリカを助けることは重要ですが、果たしてこれは日本にとってベストな選択でしたか?十分なプロセスをとってきたと言えますか?

有事における抗堪性

有事における抗堪性も疑問です。ミサイルの弾は高価である上にたくさんのミサイルを配備することはできません。戦争において厄介な物は真っ先に狙われます。比較的生産が容易な巡航ミサイルが脅威です。真っ先にイージスアショアは狙われます。そこに敵国からの飽和攻撃をされたらどうなるでしょう?

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http://www.asahi.com/photonews/gallery/091019china/china1030.html                                                                                                       近年中国や北朝鮮では弾道ミサイルや巡航ミサイルの開発が盛んに行われている

はじめに固定型と言いました。ミサイルの数も限りがあります。多額のお金をつぎ込んだのに破壊されたら、これほど滑稽なものはありません。近年の仮想敵国のミサイルは変則性のあるミサイルが登場し、今までのミサイルとは別物と聞きますこうしたことからもこの装備が最適とは思えません。

世界のイージスアショア

一方、世界にはイージスアショアが配備されている国があります。それはハワイルーマニアポーランドです。これは主にどこからの敵を想定しているでしょう?

ハワイはアジアからの大陸間弾道ミサイル、ヨーロッパ二国は中東、及びロシアです。もちろん、この3箇所もアメリカの防衛戦略の下で置かれました。

対案は

反対派の方は対案なしにとにかく反対をしていますね。平和主義に反するという不可解な論理がありますが、攻撃されたら戦争になるのは当たり前で、何かしらの備えは必要です。そこで対案を見てると代わりになるものとして、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)メガフロート護衛艦の転用敵基地攻撃能力の保持電子戦攻撃能力が挙げられます。日本政府は、敵基地攻撃の有無について議論するとしています。どれを選ぶにしろ最も効率のよい代替案を選ぶ必要があるのは明らかであり、日本政府の対応が注目されます。

今回様々な視点から見ましたが、イージスアショアの導入には欠点はありますが、代わりの選択肢がないのが現状であり、早期の防衛計画の見直しが必要です。

国防は私達国民に密接に関わります。それに防衛は国の安全を守るためにあるということは忘れずに、日本にとってより良いものになればと筆者は思います。

(あくまで筆者の一意見です)

用語

弾道ミサイル防衛構想(BMD):主に弾道ミサイルから特定の地域を防衛する構想のこと。近年、アメリカを中心とする国々で開発が進められてきた。

抗堪性:軍事用語の一つで、軍事攻撃を受けた際に機能を失うことなく軍事行動ができる能力

敵基地攻撃能力:敵基地を攻撃する能力のこと。日本は専守防衛の原則をとっているので、有事の際には敵からの攻撃を受けないと反撃することができない。攻撃してくるであろう相手を先に攻撃することで日本を守ることができるという議論もあり、現在日本政府がこの能力の検討を始めた。