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ついにやってきたレジ袋有料化

レジ袋とエコ?バッグ

ついにやってきた!レジ袋有料化

ついに、7月1日からプラスチック製買い物袋の有料化が始まりました。
日本維新の会学生部の中でも「レジ袋有料化」の是非についてディスカッションをしましたが、どうやら今のところ、私のような「レジ袋有料義務化には反対」との意見は学生部内で少数派?のようでした。

その一方で、レジ袋有料義務化に対して導入1週間後から、一部の方々によってそこに疑問の声を上げ始めました。

世間でもこのテーマについての関心が高まっているようですので、恐らく維新学生部で最もプラスチックに詳しいであろう私、蒼りん(あおりん)が解説と提案をしたいと思います。
実は私の大学での専門は高分子科学(プラスチック・ゴムなど)なのですよ!

プラスチックは悪なのか?

そもそも今回のレジ袋有料化は何が目的なのか。
そこが曖昧だと、人類は単純にプラスチックを悪者にしているだけになります。人類がやっと手に入れた便利な素材であるプラスチックから手を引くならそれは退化です。それは、シュタウディンガーさんや私の先輩でもある桜田一郎さんに申し訳が付きません。

では、経済産業省のレジ袋有料化に関するホームページを見てみましょう。

(下の画像は経産省のホームページより引用。けっこうポップで完成度の高いホームページです笑)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

経済産業省のホームページには、

プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。

とあります。

「資源の制約」は、多くのプラスチックが石油由来であることを引き合いに「石油資源の節約」をいいたいのでしょう。ただ、そもそも石油が本当に枯渇するのかという問題もありますし、昔は使えなかった化石燃料が技術の進歩で使えるようになることは今後もあるでしょう。さらには石油由来でないプラスチックもたくさんあるので、そこまで心配することではないでしょう。実は二酸化炭素からプラスチックを作ることもできちゃいます。

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/fsi014.html

「地球温暖化」は、プラスチックが石油由来の有機物で、最終的に燃やすと二酸化炭素が発生することを指摘したいのでしょう。これは飛行機を1回飛ばすのはレジ袋何枚分の二酸化炭素を排出しているのか、という比較からもアホらしく感じるでしょう。地球温暖化を気にするならもっと合理的な解決方法は沢山ありますから、恐らくこれはレジ袋有料化にとってはオマケで本質ではないでしょう。

「海洋プラスチックごみ問題」は確かにプラスチック固有の問題です。これについては今度詳しくその構造を言及しましょう。

どんなレジ袋なら無料のままでいいのか?

さて、これに対して「これは有料化しなくていいよ」というレジ袋もあります。
経産省のホームページを見ると

①プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル(=0.05mm)以上のもの
②海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
③バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

とあります。
①については、本当に繰り返し使われるか疑問ですし、海外で同種の立法をしたのちに厚手のレジ袋が同じように使われて、使用プラスチック量を見ると逆効果だった、との例もあります。

そもそも今のレジ袋だって再利用できますからね!

多くの皆さんは、恐らく部屋のゴミ箱にそのままゴミを捨てるのではなく、ゴミ箱にレジ袋を入れてその中にゴミを捨てていると思いますし、そのほうが衛生的です。それだって立派な再利用です。ちなみにうちの家では近所のスーパーがレジ袋を有料化してしまったときから、それ用の袋(レジ袋と同じポリエチレン製)を買っています。これまでレジ用に1回、ゴミ箱用に1回と2回以上は使っていたものを、今はゴミ箱用に1回しか使わなくなってしまったので逆に勿体ないです。

つぎに②と③ですが、この2つを並列するのはとんちんかんであると言えます。本当に海洋プラスチック問題を解決したいなら、③はやめたほうがいいですし、バイオマスは本当に地球温暖化対策に繋がるのか微妙なところです(製造中に農業用機械等によって二酸化炭素をたくさん排出する)。やるなら②に絞ったほうがいいでしょう。勿論、生分解性プラスチックにも弱点があるので気を付けないといけませんが。

さらには、経産省と環境省の『プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン』を詳しく読むと以下のような文があります。
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/document/guideline.pdf

省令に基づく有料化の対象とならない者であっても、自主的取組として、同様の措置を講じることを推奨する。

うーん、実にセクシーですね。要は「色々工夫しようが、原則はレジ袋を使うな」ということです。これだと完全にプラスチックを悪者にしているだけのように思えます。

ビジョンが微妙なレジ袋有料化

「海洋プラスチック問題も対策したい。地球温暖化対策もやりたい」とビジョンが曖昧な政策で、最終的に「環境に悪いプラスチックをみんなで排除しよう」というのが今のレジ袋有料化ではないでしょうか。今回はレジ袋ですが、今後はさらに広くプラスチックを排除する動きが出るかもしれません。冒頭にも書いたように、人類が苦労して手に入れた素材を悪者にして手放すのは人類の退化であると私は思います。

では、どんなビジョンを掲げるべきか。
近年、特に注目される海洋プラスチック問題に着目すると

プラスチックを使ったら責任を持って賢く処理しよう

という一文に帰着します。

プラスチックは、ゴミ箱に入れて燃やせば燃料になり問題なく処理されるわけで、海洋プラスチックごみにもなりません。レジ袋に限らず、様々な利用分野でも同じことが言えます。自分の使ったプラスチックが最終的に日本で焼却処理されていることが重要なのです。

これまでの世界的な「脱プラスチック」という人類退化の流れに、日本人特有の「みんなやってるよ~」に流されてしまうのではなく、もっと本質的なビジョンを日本が持つことでイデオロギー化された環境問題を合理的に解決できるのではないでしょうか。

次回以降、「プラスチックを使ったら責任を持って賢く処理しよう」というビジョンに基づいて、具体的な話や技術的な話を書きたいと思います。